音楽、言語、ダンスフィットネス、Rhymoe®(ライモー)

先日の撮影会である方にお会いした時のこと。
その方は、アメリカの日本未上陸のダンスフィットネスプログラム(Chakaboom)のインストラクタートレーニングをアメリカまで受けに行って、先日その資格を取得された。しかし、実際にそのプログラムを日本でやってみようとなると、「どうも翻訳するだけではダメな気がするんです」と私に話してくださった。その方はアメリカでのトレーニングで、レッスンの参加者がそれぞれバラバラなことをしていても(例えば皆でジャンプしているところを一人だけ回っていたり、大きく前に進んだり)変な目で見ないし、「あっそうなのね」という感じで一緒にやっているところにもカルチャーショックを覚えたという。

私はZumba®やこのChakaboomなど、アメリカ発祥のダンスフィットネスプログラムにおいて、インストラクターは、そういった参加者の状況や文化背景を理解することはとても重要だと思う。それがあってこそ「どんなフィットネスレベルの人でも楽しめるプログラム」というコンセプトが理解できるからだ。そしてもう一つ非常に重要なのが「音楽とリズムを理解し、それらを最大限効果的に使って動きをリードする」ということだと思っている。

しかしながら、それについてじっくり取り組んでいる人がどれくらいいるだろうか。しかも、日本人と欧米人のリズムの感じ方は異なる。それも正反対とも言えるくらいに。それがどのように異なっているか、そしてそれがどれほど、「音楽を最大限効果的に使ったダンスフィットネスの振付」や「フォローしやすいリードの方法」を考えるうえで大切か、ということに向き合っている日本人インストラクターは一体どのくらいいるだろうか。

同じ音楽を聴いていても、欧米人と日本人のリズムの感じ方、身体表現の仕方は非常に違う。その違いは母語となる言語によるものだと私は考えている。母語の持つリズムは、その人の体内を24時間流れ続けている。そして言語リズムが、その人のベースとなる動き方、体の使い方をも支配する。そして音楽は、作った人または作られた土地の言語の影響を非常に受けている。特に歌唱を含む音楽の場合、使われる言語の音の性質、そしてリズムが、その土地の音楽と非常に密接に関わっていることは異論がないだろう。だから「母語と異なる言語の音楽」に対する反応はしばしば、自らの母語によって形成されたリズム感覚、身体感覚を通して表現される、という「ミスマッチ」が起こる。

インストラクターがその事実に向き合うことなく、海外ポップスやラテンミュージックを使ってフィットネスをしたところで、ただ音楽をBGMにしたアクティビティにしかならない。もしくは音楽本来が持つリズムにそぐわない動きとなり、音楽に乗ることの「根源的な楽しさや喜び」を感じることからは遠いものとなる。そしてただ飛んだり跳ねたりだけの動きで満足したり、あるいは難しい振付を習得することや全員が奇麗に動きが揃うことに注力したりするようになる。おそらくその傾向は、日本に多数あるヒップホップなどのダンススクールでも同様だ。または新体操やフィギュアスケートなどの世界で、日本人選手は欧米人には表現力ではかなわないので、ウルトラCの技で勝負しようとする傾向も同様の現象だと私は思う。

「(西洋)音楽のリズムに乗る」ということは、言語、リズム、音楽、動きという4つの軸で考えることが、非常に重要となる。ただし対象言語をペラペラと話せるレベルになることが必要、と言っているわけではない。言語の持つ音の特徴とリズムの特徴をしっかり把握して、それに同調するための身体感覚を身につけること。これが大切であり、そのとき音楽が非常に重要な役割を果たす。

そして「(西洋)音楽のリズムに乗る」身体感覚は、ダンスフィットネス、ダンスをしている人のみならず、バンドをしている人、ブラスバンドやオーケストラなどで楽器を演奏している人、ゴスペルなど英語の曲を歌う人にも非常に有効な感覚で、それによって演奏方法が大幅に向上すると私は考えている。

さらに、この「(西洋)音楽のリズムに乗る」感覚を養う過程で言語のリズムに対する理解が深まるため、結果として、その対象とした言語を聴く能力、話す能力が向上する。
私が今ターゲットとしているのは英語で、おそらく大多数の人は、「(西洋)音楽のリズムに乗る」ことよりも、この「結果として現れるもの=英語を聴く/話す能力の向上」の方を求めているだろう。だからそのような人に貢献できるメソッドとして、Rhymoe®(ライモー)を組み立てている。けれどRhymoe®というコンセプトそのものは、英語の感覚を身につけたい人だけでなくて、上記のように、ダンスフィットネスのインストラクターや愛好者、ダンサー、音楽家といった、西洋音楽にかかわりのある人々に向けた知識があって初めて、Rhymoe®であるのだ。Rhymoe®は多くの日本人のための基本的能力を養うメソッドの一つとなりえると同時に、西洋音楽にかかわる多くの日本人の感覚を大いに改善しうる、非常に幅の広いコンセプトでもある、といえる。

(→ Rhymoe®のコンセプトについて)

現在行っているのは未就学児の親子対象のクラスのみだが、それを拡大し、幼稚園や小学校に出張して、英語に親しむと同時に、(西洋)音楽に乗れる身体感覚を楽しく身につけることのできるワークショップを児童・生徒向けにしたい。そしてそのあと、幼稚園や学校の先生の方々にもワークショップを行い、Rhymoe®のコンセプトと効果的な英語教育についてお話しさせていただきたい。

…というのが、今の私の大いなる野望です。

※ダンスフィットネスインストラクター向けのワークショップは、別途
2017年に実施予定にしています。興味のある方はお気軽にお問合せください。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください